今回のブログでご紹介させて頂くのは、ひょっとしたら、タイムトラベルできてしまうかもしれない街の話だ。しかも、その街はこの日本の東京ーーー下北沢に存在する。
尚、この話はYouTubeのチャンネル『島田秀平のお怪談巡り』で紹介されていたエピソードになる。
『島田秀平のお怪談巡り』では毎回ゲストが呼ばれ、そのゲストがそれぞれの体験談などを披露していくという形式を取っている。そして表題にある体験されたのは、お笑い芸人であるちゅうえいさんだ。
ちゅえいさんは、まだ芸人として有名になる前―－－今からざっと二十年近く前、東京の下北沢に住んでいたということである。ちなみに、下北沢という街は、演劇や、お笑いや、音楽などを志すひとが集まる街として有名である。
と、ここで話をもとに戻すと、ちゅうえいさんは今から二十年ほど前、下北沢の街で毎日のようにライブを行っていたということである。しかも、多くの場合はちゃんとしたライブハウスではなく、道端で行っていたということだ。
そしてそこで毎日のようにライブを続けいてくうちに、ちゅうえいさんは、月に一度、どういうわけか、下北沢の街が閑散としてしまう日があることを発見することになったということである。
下北沢の街は夜になっても通常多くの人で賑わっているのだが、しかし、月に一度、霧がかった日は、これといった明確な理由もなく、人通りがかなりまばらになってしまうのだ。そうしてそのように人通りが減ってしまうと、当然のことながら、自分たちのライブを観てくれるお客さんもいなくなってしまうことになるので、ちゅうえいさんたちはその月に一度ある、霧の日を恐れていたということだ。
と、それから月日は流れて十年くらいが経った頃、ちゅうえいさんは当時付き合っていた女性と一緒に下北沢の街を訪れたということである。その下北沢の街でお酒を飲み、その後、ふたりは夜の１２時頃、雑居ビルの二階にあるラーメン屋に入ったということである。
と、ここで、奇妙なことが起こる。ふたりが入ったラーメン屋は、カウンター席しかない小さな店だったらしいのだが、その店の一番奥の席には、テーブルの上に突っ伏す形で眠っている女性がいて、なんと驚いたことに、その女性の足は半分透けてしまっていたということなのだ。更に店に置かれている新聞の日付もおかしく、西暦２０１０年代であるにもかかわらず、どういうわけか、店に置かれている新聞には、西暦１９５０年代の日付が記載されていたということなのである。また更にラーメンの値段も一杯２００円と異様に安かったということである。
ちゅうえいさんとその彼女は自分たちが入ったラーメン屋に異様な雰囲気を感じ、ラーメンをべ終えると、すぐに店を出たということである。すると、空気がもとに戻ったような感覚があり、それと同時に、ちゅうえいさんは昔自分が下北沢でライブを行っていた頃、月に一度だけ、霧がかかった日に、極端に人通りが少なくなる日があったことを慄然とするように思い出すことになったということである。更に、その日、ちゅうえいさんと彼女が訪れた下北沢は、まさに、その霧かがった日だった、ということである。
その後、ちゅうえいさんは、驚くべき真実を知ることになる。というのも、ちゅうえいさんたちが訪れたラーメン屋は今から三十年以上前につぶれてなくなってしまっていたのだ。ふたりが訪れた雑居ビルの二階はもう何年も空き家の状態であり、従って、ちゅえいさんとその彼女がそこでラーメンを食べられるはずもなく……故に、ちゅうえいさんは自分たちはちょっとしたタイムトラベルを経験したのではないかと考えているようだ。
皆さんはどう思われるだろうか？
尚、下北沢の街に月に一度靄のようなものがかかる日があるということと、その日は人通りが少ない傾向にあるということは、下北沢に住んでいるひとのあいだでは比較有名な話であるらしい。
ちなみに、これと類似した例で、東日本大震災が起こったとき、霧のなかに入ると、一瞬だけ過去のような世界に迷い込んでしまったというような報告例がある。
だから、ひょっとすると、霧には空間をねじ曲げる、あるい過去と現在を繋ぐような効果があったりするのかもしれない。
それでは今日もこのプログを読んでくださった方には感謝する。またいつも書いていることではあるが、僕はこのようなアイディアをもとに小説を書いているので、もしこのような話に興味があるという方がいらっしゃったら、下記にリンクを貼りつけておくので、またお手すきの際にでも読んで頂けると、非常に嬉しい。
それではまたのプログで！
